正確な配列情報は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイやリアルタイムPCRの成功に不可欠なプライマーやプローブの設計になくてはならないものです。そのため、終わりのないウイルスゲノムの遺伝的進化はPCRアッセイの重要な課題となっています1。実際、ウイルス配列の変化のモニタリングやその変化への対処は、効果的なアッセイを開発する、そして今後も開発し続けたいと願う企業にとって非常に重要です。PCR技術のパイオニアであるモレキュラー・ラボが、ウイルス配列変化のモニタリングにおいても世界的なリーダーであることは驚くに値しないでしょう2。
最前線での10年間
1998年にジュネーブで開催された国際エイズ会議において、ロシュはグローバルサーベイランスプログラムを始動しました2,3。当初、HIV-1ゲノムの配列変化のみをモニタリングするために設計されたプログラムとそのデータベースは、その後、世界で最も関連性の高い地理的地域におけるHCV、HBV、WNVなどの複数のウイルスの何千ものゲノム配列を含めて拡大していきました4。
このプログラムへの尽力とそこから生み出された成果の多くは、分子アッセイに対する信頼性の維持改善をサポートする上で非常に大きな役割を果たしており、結果として、世界中の多くの研究者、医師、患者に利益をもたらしてきました2,4。
イニシアティブとコラボレーションの活用
グローバルサーベイランスプログラムは単独ではその使命を果たしません。その代わり、このプログラムは、ロシュや他の企業の豊富なリソースを活用して、実りある相乗的な協力を行ってきました。例えば、グローバルサーベイランスプログラムは米国をはじめとする各国の重要な公開データベースに定期的にアクセスしています。具体的には、米国Los Alamos National LaboratoryのデータベースやNational Institute of HealthのGenBankデータベースが挙げられますが、これらに限定されるわけではありません4。さらに、世界中の研究者と協力し、配列情報が収集されているロシュの宝庫を増大させています。そして、これらの配列情報はすべての研究者と共有し、すべての人に対しこのプログラムの価値を最適化しています4。
徹底的なプロセス、非常に大きな利益
グローバルサーベイランスプログラムの取り組みによって得られた配列は慎重に保存され、厳密なプロセスを経て保管されています4。
結果は解析と改善の繰り返しであり、最終的にはより良い診断、より良い予後、より良い疾患管理をもたらします。
将来に向けた基準や戦略の策定
ロシュのグローバルサーベイランスプログラムは、さまざまな方法で遺伝子検査分野に前向きで持続する影響をもたらせるようデザインされています。そのために、1つには、感染拡大の原因となる傾向の特定をサポートする疫学的調査を促進し、また、継続的な協力関係を構築しながら、新たな協力関係を追い求め続けていきます。そして、ロシュは当社独自のデータベースを常に拡大していきます。現在、欧州、南米、アフリカ、アジアで検体収集を拡大する取り組みが進められています4。
このプログラムの成功を明らかに示す例として、一部の重要な製品が、グローバルサーベイランスプログラムへの提供から、設計・開発の観点において恩恵を受けています。
実際に、グローバルサーベイランスプログラムは、研究開発、承認申請、上市後のサポートなどのプロセスの複数の時点で、モレキュラー・ラボの製品開発に不可欠な要素となっています4。
グローバルサーベイランスプログラムは、世界中で病気と闘い、健康を維持することに尽力している研究者、医師、患者へ向けられた、ロシュの独創的で頑強なコミットメントを強く示す一例です。彼らの使命の需要と同様に、当社も絶えず進化しています。当社は、ペースを維持するだけでなく、先導することにも注力しています。