SBX(Sequencing by Expansion)テクノロジー

SBX(Sequencing by Expansion) - a closer look
現在の次世代シークエンシング(NGS)技術の限界を克服する

ロシュ シークエンシング ソリューションはゲノム科学における将来の大きなニーズに応えるべく邁進しています。中でもシークエンシングアプローチにおいては、より一層の速度向上、精度改善、拡張性強化、そして柔軟性向上が求められているものの、現在の技術に起因する制限や限界があり、これらの克服が必要であると認識しています。

DNAの塩基を測定するためにサイクルベースのアプローチを採用している従来のシークエンシング技術の場合、全てのシークエンシング反応が終了した後にはじめてデータへアクセスが可能となり、解析が開始できるようになります。単分子ナノポア技術を用いる別の市販されているシークエンシング技術の場合、この課題は解決されていますが、空間分解能の低さと核酸塩基の分子識別の低さに起因する、根本的なシグナルノイズ比の限界に課題があります

SBX(Sequencing by Expansion)ウェビナー

NGSの新たな可能性を発見しませんか? ロシュの新技術が、シークエンシングの応用をどのように拡大し、深いインサイトの発見にどう役立つのか。 ぜひウェビナーをご覧ください。

注目すべき更新事項:ESHGワークショップのプレゼンテーション

品質と効率性の両方を追求して設計されたSBXは、デュプレックスシークエンシング法であるSBX-Dにより、高精度な全ゲノムシークエンシング(WGS)を実現します。この革新的なアプローチでは、標的DNAの両鎖の配列は1本のリードで連結されたデータとして得られます。

SBX-Dを用いることで、7つのゲノム・イン・ア・ボトル(GIAB)リファレンスサンプルを1時間以内に30x以上のカバレッジでシークエンスすることができ、一塩基変異(SNV)で99.8%以上、挿入・欠失(Indel)で99.7%以上という優れたF1スコアを達成しました。2025年5月のESHG(European Society of Human Genetics;ヨーロッパ人類遺伝学会)での発表では、SBX-Dの高感度バリアントコール性能について腫瘍/正常ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルを用いた場合のデータを紹介しています。さらに、tissue-awareアプローチによる微小残存病変(MRD)研究の15サンプルのデータも提示され、腫瘍含有率が1x10⁻⁶という低濃度でもMRDを検出できることが実証されました。さらに、1時間あたり1Tbのシークエンススループットを実現する、より長い(約1000mer)SBXシンプレックスリードの有用性についても考察しています。このプレゼンテーションを視聴し、SBXテクノロジーとその驚くべき可能性をご覧ください。

Mark Kokoris @ESHG25

SBX(Sequencing by Expansion):多用途で高スループットな単一分子シークエンシング技術

Mark Kokoris

Head, SBX Technology
Roche Diagnostics Solutions

Sean Hofherr, PhD @ESHG25

SBX Fastワークフローの改良:速度とパフォーマンス

Sean Hofherr, PhD, FACMG

Chief of Clinical Strategy and Product Development
Broad Clinical Labs

SBXテクノロジーは現在開発中であり、市販されていません。このページに記載の内容は、現在までの研究結果または設計目標を反映しています。

新しいNGSアプローチ

ロシュは、パフォーマンス向上の需要に応えるために、SBX(Sequencing by expansion)という新しいカテゴリーのNGS技術を開発しました。この強力なNGSアプローチは、柔軟性とパフォーマンスを重視し、将来的な拡張性も考慮して設計されています。具体的には、SBXには以下のような利点があります。
 

  • 柔軟性:サンプルのニーズに合わせて使い方を柔軟に調整可能
  • 精度:高い精度を実証(HG001 WGSのF1スコアが99.80%超(SNV)および99.7%超(InDel))
  • スループット:非常に高いスループット(1時間のシークエンスで50億以上のduplex readsを取得。7ゲノムのWGSの場合平均30x以上)
  • リード長:50bpから1000bp以上という柔軟なリード長
  • 迅速ニーズ対応:緊急サンプル用の超高速ワークフロー オプション(サンプルから二次解析(VCF)まで5時間以内)
  • コスト:拡張性があり再利用可能なセンサーモジュールによる高コスト効率を実現

SBXテクノロジーでは、DNA情報をより長い「拡張された」分子に変換することで、現在のナノポア技術の空間的課題を克服し、より高いシグナルノイズ比を実現し、精度を向上させます。この拡張された分子(エクスパンドマー)をロシュ独自のナノポアに通過させることで、驚異的な速度での単一分子シークエンシングが実現し、解析可能なシークエンシングデータへの迅速なアクセスも可能となります。

SBXテクノロジーは現在開発中であり、市販されていません。このページに記載の内容は、現在までの研究結果または設計目標を反映しています。

X-NTP structure diagram

AGBTワークショップでのプレゼンテーション

Mark Kokoris @AGBT25

SBXテクノロジー

Mark Kokoris
Head, SBX Technology
Roche Diagnostics Solutions

Edwin Cuppen @AGBT25

SBXテクノロジーを用いた癌全ゲノムシークエンシング

Edwin Cuppen
Scientific director
Hartwig Medical Foundation

Sean Hofherr @AGBT25

Roche SBXテクノロジーによるトリオの迅速WGSの実現

Sean Hofherr, PhD, FACMG
Chief of Clinical Strategy and Product Development
Broad Clinical Labs

Aziz Al'Khafaji @AGBT25

高度に多重化された癌細胞株におけるマルチオミクス薬剤応答プロファイリング

Aziz Al'Khafaji, PhD
Director, Molecular R&D
PI, Methods Development Lab
Broad Clinical Labs

SBXテクノロジーは現在開発中であり、市販されていません。このページに記載の内容は、現在までの研究結果または設計目標を反映しています。

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