エクルーシス試薬 PIVKA-Ⅱ(体外診断用医薬品)は、ヒト血清および血漿中におけるビタミンK依存性凝固因子前駆体II(PIVKA-II)の定量検査です。本アッセイは肝細胞がん(HCC)の診断の補助として使用されます。結果は、診療ガイドラインに従ってその他の検査と併せて解釈する必要があります1.2。
肝細胞がん(HCC)
肝細胞がん(HCC)は世界的に大きな健康問題となっています。HCCは世界で6番目に多く発生しているがんで、最もよく見られる原発性肝がんです。世界のがん関連死の主要な原因と言われており、原発性肝がんの90%以上を占めています3,4,5。また、全世界のがんによる死亡において、HCCは男性で第2位、女性では第6位となっています。HCC発症の主なリスク因子は、B型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染であり、HCCと慢性B型肝炎およびC型肝炎の有病率との間には強い相関関係が示されています6。そして、HCCは肝硬変の進展で発生する侵襲性の高いがんであり、一般的に肝繊維化が進行した段階で発症することが多いとされています7。そのため早期診断と早期の治療介入により生存率が大きく改善される可能性があります8。
ビタミンK依存性凝固因子前駆体II(PIVKA-II、別名 des-γ-carboxy prothrombin [DCP])は、HCCのサーベイランス、診断、そしてモニタリングに有用なバイオマーカーとされています9。PIVKA-IIは元々、HCC患者で発見されたプロトロンビンの前駆体であり、異常な形態です10。ビタミンKが欠乏している場合や、ビタミンK依存性カルボキシラーゼ活性を阻害する拮抗薬を服用している場合に、凝固活性を失ったPIVKA-IIが産生されます11。HCCの腫瘍細胞では、プロトロンビン前駆体の翻訳後カルボキシル化の後天性欠陥の結果、PIVKA-Ⅱが産生されると考えられています。