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エクルーシス試薬 CA19-9Ⅱ

CA19-9は、1979年koprowskiらによって報告されたヒト大腸癌細胞をマウスに免疫して作製したモノクローナル抗体NS19-9で認識される糖鎖抗原です。CA19-9の抗原決定基は、ルイス式血液型Lea糖鎖にシアル酸が結合したものであり、血液中ではシアロムチンとして存在しています。

CA19-9は、健常人の唾液腺、膵管、胆管、消化管などの細胞の一部にも微量ながら存在すると言われていますが、癌患者では消化器由来の癌で陽性率が高く、主に膵、胆管系を中心とした消化器癌の腫瘍マーカーとして広く使用されています。日本人の約10%は、Le糖鎖を合成するフコシル化酵素遺伝子の欠如しているLewis式血液型陰性Le(a-b-)ですが、これらの人達は例え癌であってもCA19-9を産生しないため注意が必要です。



特徴

  1. 18分の短時間測定
  2. 広範囲を測定可能: 2~1,000 U/mL (e 411/E 170/e 601/e 602 : 0.6~1,000 U/mL)
  3. 非特異反応を低減:フラグメント化抗体と吸収剤を使用
  4. 微量な必要検体量:1テスト6 μL(e 411/E 170/e 601/e 602 : 10 μL)
  5. 微量検体での測定を実現: CEA、CA19-9、 AFPの3項目を18 μLで測定(e 411/E 170/e 601/e 602 : 30 μL)
  6. 開封後、機器上安定性:16週間 (e 411/E 170/e 601/e 602 : 8もくしは6週間)
  7. CA19-9オリジナル抗体であるマウスモノクローナル抗体 1116-NS-19-9を使用



再現性

同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られております。

同時再現性
日差再現性

(自社データ)



ヒストグラム

健常者197人について測定したときのCA19-9値ヒストグラムを示します。99パーセンタイルより求めた参考基準範囲は37U/mLとなりました。

ヒストグラム

(自社データ)



他法との相関性

エクルーシス試薬CA19-9Ⅱと他社RIA法による相関を示します。

他法との相関性

(花田浩之他、医学と薬学52(6):1007-1014,2004 一部改変)



臨床データとCA19-9分子量分布

各種良性・悪性疾患における血中CA19-9値をECLIA法にて測定した結果、膵臓癌をはじめとした各種悪性疾患の鑑別に優れた成績が得られております。

  • ヒトCA19-9分子は多様であり、①癌患者の場合、大部分が200万以上、②良性胆管系疾患では高分子量のものと分子量15万のものの2種類が存在し、③正常人では低分子分画のみであったことが報告されています。
  • CA19-9を用いた癌の補助診断においては、癌患者由来の高分子CA19-9を特異的に捕まえることが重要です。エクルーシス試薬CA19-9Ⅱは、反応系を最適化することによって、良性疾患(特に良性肝疾患)で滞留する低分子CA19-9関連物質に対する反応を抑制する工夫をしています。
臨床データとCA19-9分子量分布
膵臓癌、胆石症患者、健常者におけるCA19-9ゲルろ過パターン
CA19-9ゲルろ過パターン
膵臓癌患者におけるエクルーシス試薬 CA19-9Ⅱと既存法とのゲルろ過パターン
既存法とのゲルろ過パターン

(花田浩之他、医学と薬学52(6):1007-1014,2004 一部改変)



ROC分析

膵臓癌20例、慢性膵炎22例を用いROC分析にてRIA法と比較したところ、AUCにおいて優れた診断効率を示す結果が得られております。

ROC分析

(花田浩之他、医学と薬学52(6):1007-1014,2004 一部改変)



肝疾患患者検体における相関性

従来non-RIA法において非特異反応が指摘されておりました肝疾患患者検体において、ECLIA法はRIA法と比較し良好な相関が得られております。

肝疾患患者検体における相関性

(花田浩之他、医学と薬学52(6):1007-1014,2004 一部改変)