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製品

エクルーシス試薬 AFP II

AFP(α-fetoprotein)は分子量約65kDの糖蛋白で、胎児の肝臓や卵黄嚢で産生される胎児性蛋白です。胎生初期から出現しますが、新生児期に急速に減少し、健常人の血中にはごく微量しか存在しません。

1963年Abelevらにより肝癌移植マウス血中に発見されて以降、AFPは原発性肝細胞癌および卵黄嚢腫瘍に特異性の高い腫瘍マーカーとして、その有用性を高く評価されています。妊婦においては胎児からの移行の影響で妊娠10週後頃より上昇し、妊娠後期をピークに以降は低下に転じます。肝炎や肝硬変症などでも検出されるため、注意を要します。



特徴

  1. 18分の短時間測定
  2. 広範囲を測定可能:e 801:0.908~1,210 ng/mL(e 411/E170/e 601/e 602:0.605~1,210 ng/mL)
  3. 微量な必要検体量:e 801:1テスト6 μL(e 411/E170/e 601/e 602:10 μL)
  4. 一次標準品に1st IRP WHO Reference Standard 72/225を使用
  5. 開封後、機器上安定性:e 801:16週間(e 411/E170/e 601/e 602:6もしくは4週間)



再現性

エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。

同時再現性
日差再現性

(自社データ)



参考基準範囲

健常人646例により求めたAFPの参考基準範囲は7.0 ng/mL以下となりました。

参考基準範囲

(自社データ)



他法との相関

エクルーシス試薬AFPⅡは他社CLEIA法と良好な相関を示しました。

他法との相関

参考資料・文献

  • 鈴木尚子,他: 医学と薬学 vol.56 no.6: 897-907, 2006



妊婦における血清AFP値

AFPは妊婦において上昇することが知られています。妊娠14~19週目の妊婦について血清AFP値を測定したところ、経過に伴ない上昇する傾向を示しました。

(グラフは中央値、最大・最小、および5~95パーセンタイル値)

妊婦における血清AFP値

(自社データ)



各疾患群におけるAFP測定値の分布

エクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布は下記の通りです。原発性肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍(卵巣胚細胞腫瘍・非精上皮腫のひとつ)でAFP高値が認められます。

血中AFP測定の対象疾患は、肝細胞癌の発生頻度の高いB型およびC型慢性肝炎、肝硬変ですが、これは診断のためではなく、前癌病変のスクリーニングを主目的としています。その他、胚芽腫、卵黄嚢腫瘍や劇症肝炎における肝再生の指標としても用いられます。

悪性腫瘍群165例、良性疾患群76例、合計241例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布

悪性腫瘍群165例、良性疾患群76例、合計241例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布

(自社データ)

肝細胞癌86例、肝転移12例、良性肝疾患群60例、健常群28例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布

肝細胞癌86例、肝転移12例、良性肝疾患群60例、健常群28例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布
肝細胞癌86例、肝転移12例、良性肝疾患群60例、健常群28例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布

(自社データ)



肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム

AFPは、肝細胞癌サーベイランスに必須のマーカーです。

腫瘍マーカー検査については、AFP、AFP-L3分画およびPIVKA-Ⅱを超高危険群(B型、C型肝硬変)では3~4ヵ月に1回、高危険群(B型、C型慢性肝炎、肝硬変)では6ヵ月に測定することが推奨されています。

(肝癌診療ガイドライン2013年版より一部抜粋)

肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム
  • *超音波の描出不良等を理由に超音波での結節の描出がなくてもCT/MRIを撮影する場合もある。腎機能低下例、造影剤アレルギー例などでは造影超音波検査も考慮される。



腫瘍マーカーの測定は、肝細胞癌の治療後の指標として有効か?

[推奨] 治療前に腫瘍マーカーが上昇している症例では、治療後にその腫瘍マーカーを測定することは、治療効果の指標として有効である。(グレードB*)

  • *グレードB : 行うように勧められる/言い切れる根拠がある
サイエンティフィックステートメント
  • 根治的穿刺局所療法(RFA)を施行された416例を対象とした研究では、治療後のAFPおよびAFP-L3分画高値(>100 ng/mL/>15%)が再発を予測する独立した因子であった。
  • RFAで治療された54例を対象とした研究では、AFPの半減期7日未満の減少は、画像診断による効果判定と独立した無再発生存の予測因子であった。
  • TACE(肝動脈化学塞栓療法)あるいは放射線塞栓療法を受けた125例を対象とした研究では、AFPの50%以上の減少は、画像診断による効果判定と独立した全生存の規定因子であった。
  • 全身化学療法を施行された117例を対象とした研究では、AFPの20%以上の減少で定義されたAFP responderは、画像上のstable diseaseと判定された中でも良好な予後を示した。
  • 全身化学療法あるいは分子標的薬治療を受けた107例を対象とした同様の検討では、50%以上のAFP減少は、良好な予後と関連していた。

(肝癌診療ガイドライン2013年版より一部抜粋)