AFP(α-fetoprotein)は分子量約65kDの糖蛋白で、胎児の肝臓や卵黄嚢で産生される胎児性蛋白です。胎生初期から出現しますが、新生児期に急速に減少し、健常人の血中にはごく微量しか存在しません。
1963年Abelevらにより肝癌移植マウス血中に発見されて以降、AFPは原発性肝細胞癌および卵黄嚢腫瘍に特異性の高い腫瘍マーカーとして、その有用性を高く評価されています。妊婦においては胎児からの移行の影響で妊娠10週後頃より上昇し、妊娠後期をピークに以降は低下に転じます。肝炎や肝硬変症などでも検出されるため、注意を要します。
エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。
(自社データ)
健常人646例により求めたAFPの参考基準範囲は7.0 ng/mL以下となりました。
(自社データ)
エクルーシス試薬AFPⅡは他社CLEIA法と良好な相関を示しました。
参考資料・文献
AFPは妊婦において上昇することが知られています。妊娠14~19週目の妊婦について血清AFP値を測定したところ、経過に伴ない上昇する傾向を示しました。
(グラフは中央値、最大・最小、および5~95パーセンタイル値)
(自社データ)
エクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布は下記の通りです。原発性肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍(卵巣胚細胞腫瘍・非精上皮腫のひとつ)でAFP高値が認められます。
血中AFP測定の対象疾患は、肝細胞癌の発生頻度の高いB型およびC型慢性肝炎、肝硬変ですが、これは診断のためではなく、前癌病変のスクリーニングを主目的としています。その他、胚芽腫、卵黄嚢腫瘍や劇症肝炎における肝再生の指標としても用いられます。
悪性腫瘍群165例、良性疾患群76例、合計241例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布
(自社データ)
肝細胞癌86例、肝転移12例、良性肝疾患群60例、健常群28例によるエクルーシス試薬AFPⅡの測定値分布
(自社データ)
AFPは、肝細胞癌サーベイランスに必須のマーカーです。
腫瘍マーカー検査については、AFP、AFP-L3分画およびPIVKA-Ⅱを超高危険群(B型、C型肝硬変)では3~4ヵ月に1回、高危険群(B型、C型慢性肝炎、肝硬変)では6ヵ月に測定することが推奨されています。
(肝癌診療ガイドライン2013年版より一部抜粋)
[推奨] 治療前に腫瘍マーカーが上昇している症例では、治療後にその腫瘍マーカーを測定することは、治療効果の指標として有効である。(グレードB*)
(肝癌診療ガイドライン2013年版より一部抜粋)