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エクルーシス試薬 CEA II

CEA(胎児性抗原:carcinoembryonic antigen)は、胎児の消化器の粘膜組織に存在する分子量約18万の糖蛋白質です。主として消化器系癌患者の血中に存在しますが、消化器のみならず各種の癌で産生されるため、さまざまな癌における診断補助を目的として広範に検査されています。

進行度の低い早期癌のスクリーニングには適しませんが、癌の進展に伴なって陽性率が上昇する特徴があり、治療後の経過観察において高い頻度で利用されます。ただし肝疾患をはじめとする良性疾患患者において上昇すること、さらに健常人においても加齢や喫煙習慣等の影響により若干の上昇を示すことが知られています。



特徴

  1. 18分の短時間測定
  2. 広範囲を測定可能:e 801:0.3〜1,000 ng/mL(e 411/E170/e 601/e 602:0.2~1,000 ng/mL)
  3. 非特異反応を低減:標識抗体にキメラ抗体を使用
  4. 微量な必要検体量:e 801:1テスト6 μL(e 411/E170/e 601/e 602:10 μL)
  5. 一次標準品として 1st IRP WHO Reference Standard 73/601を使用
  6. 開封後、機器上安定性:e 801:16週間(e 411/E170/e 601/e 602: 8もしくは4週間)



再現性

エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。

同時再現性

(自社データ)

日差再現性

(自社データ)



参考基準範囲

健常者314例により参考基準範囲(95パーセンタイル値)を求めたところ 3.4 ng/mL 以下となりました。

一般にCEAの基準値はRIA法で2.5 ng/mL, EIA法で5.0 ng/mLが用いられています。基準値を5.0 ng/mLとする場合、エクルーシス試薬CEAⅡでは97.8%の健常者が正常範囲内に測定されます。

参考基準範囲

(自社データ)

一方、CEA値は年齢、喫煙歴によって影響を受けることが報告されています。喫煙者のみ132例を用いた場合の参考基準範囲(95パーセンタイル値)は4.3 ng/mL以下でした。

参考資料・文献

  • 浦雅子,他: 医学と薬学 vol.41 no.4: 696-702, 1999
  • 鈴木尚子,他: 医学と薬学 vol.56 no.6: 897-907, 2006
  • Vogeser M et al.: Tumordiagnostik & Therapie. vol. 19, no1:5-11, 1998



他法との相関

エクルーシス試薬CEAⅡは他社CLIA法と良好な相関を示しました。

他法との相関

(自社データ)



エクルーシス試薬 CEAⅡを用いた大腸癌転移・再発の早期発見の報告

エクルーシス試薬CEAⅡは、CEAファミリーの一種であるNCA-2に高い反応性を示します。CEA/NCA-2ともに細胞の癌化に伴ない増殖する細胞から産生される物質であり、高値の場合は何らかの病変の存在が疑われます。よって癌病変モニタリングの観点からは、NCA-2との反応性を示す測定試薬は見落としの危険が少なく、早期発見につながる可能性が高いと言えます。

エクルーシス試薬CEAⅡは、NCA-2と反応しないCEA試薬と比較して、癌の再発や転移に伴ない測定値がよりダイナミックに上昇します。また手術後および化学療法奏効時には急激に低下することから、治療効果を反映し、とりわけ外来化学療法時の癌進展モニタリングの指標として有用と考えられます。

大腸癌患者におけるCEA値モニタリング

エクルーシス試薬 CEAⅡを用いた大腸癌転移・再発の早期発見の報告
NCA-2とは

NCA-2(Nonspecific cross reacting antigen-2)は、CEAに極めて似た構造を持つ分子量約17万の糖蛋白質です。胎児期には消化管で作られ、胎便中に多く含まれる事が知られていますが、癌化した成人の消化管でも産生される場合があります。

  1. 肝臓転移や再発による測定値の上昇幅が大きく、増殖を早期から捉えています。
  2. 転移性肝癌摘出手術の後、大きくかつ急速に測定値が低下しており、治療効果を反映しています。

他社法との比較において異なるCEA値を示す症例

CEAに類似した物質がCEAファミリーで、CEAファミリーに対する交差反応性の違いで測定キットにより異なるCEA値を示す場合があります。

CEAファミリーのNCA-2はCEAの一部と同じ遺伝子副産物で、癌化した成人の消化管でも生産されることが知られているため、臨床的にも、CEAと共にNCA-2を検出することは重要と考えられます。

各検体におけるCEA測定値とゲルろ過結果
各検体におけるCEA測定値とゲルろ過結果

(自社データ)

参考資料・文献

  • Hanada H et al.: Clin Chem. vol.55 no.4: 1747-1748, 2009