PSA(Prostate Specific Antigen)は、前立腺組織中に特異的に存在する分子量約34,000の糖蛋白質で、遊離型とアンチキモトリプシンなどに結合した蛋白結合型として血中に存在します。
血中PSA値は前立腺癌患者で著明に増加し、また病勢をよく反映して変動することから、前立腺癌の診断、予後判定および経過観察の指標となります。一方、総PSA(遊離型とアンチキモトリプシンに結合した蛋白結合型)に対する遊離型PSAの割合(F/T比)が前立腺癌患者と非癌患者とで異なることが明らかになってきました。前立腺癌患者のF/T比は非癌患者に比べて有意に低値であり、グレイゾーン領域(総PSA 4.0-10.0 ng/mL)におけるF/T比の測定は前立腺癌の診断精度向上に貢献すると考えられます。
エクルーシス試薬free PSAは遊離型PSAを測定し、エクルーシス試薬PSAⅡは総PSAを測定します。
エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。
(自社データ)
日差再現性から、Precision Profileを作成し、近似曲線から求めたCV10%を実効感度とすると、0.11 ng/mLでした。
(自社データ)
エクルーシス試薬free PSAと他社CLIA法は良好な相関性を示しました。
(自社データ)
PSA検査の特異度を向上させる(不必要な生検を回避する)目的として、F/T比が前立腺の良性疾患、癌の鑑別に有用と報告されています。(「前立腺癌診療ガイドライン 2012年版、日本泌尿器科学会編」を改編)
エクルーシス試薬PSAⅡはfree PSA含有率10, 30, 50%のいずれにおいてもWHO標準品と測定値に差を認めず、等モル反応、かつ、WHO標準品の値付けに基づくことが証明されました。
参考資料・文献
PSAカットオフ値を>4 ng/mLとしたとき、前立腺生検を実施し、癌の見つかった前立腺癌患者検体n=391を含む男性前立腺疾患患者検体n=1121でのPSA、直腸診及びそれら組み合わせにおける前立腺癌に対する感度・特異度・生検陽性率は以下の通りです。
エクルーシス試薬PSAⅡにおける測定値が軽度上昇(4~10 ng/mL)を示した623検体(前立腺癌患者:91例、前立腺肥大症患者:139例、健常者:393例)を用いて測定を行い、F/T比を求めた結果、それぞれの比率における診断感度及び診断特異度は以下の通りです。
(自社データ)
F/T比を求めることにより、前立腺肥大症と鑑別において不要な生検の低減を可能にします (感度90%の時、約30%低減)
参考資料・文献
前立腺癌患者91症例を対象としたときのROC解析において、エクルーシス試薬PSAとタンデムR PSAのF/T比は同等の診断精度を示した。
(自社データ)