ProGRP(Pro-gastrin-releasing peptide)は、消化管ホルモンあるいは神経ペプチドであるGRP(gastrin-releasing peptide)の前駆体です。GRPは小細胞肺癌(SCLC)の増殖因子として働いていることが報告されていますが、血中半減期が短い(約2分)ため、診断に利用されることはありませんでした。
ProGRPは、GRPに比べて血中半減期が長く、また、小細胞肺癌への特異的が高い、早期の小細胞肺癌でも陽性例が多い、病状の進行状態をより的確に反映するなどの特徴があります。このため、 ProGRPは小細胞肺癌の組織型鑑別や経過観察を目的として、広く日常診療に利用されています。
エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。
(医学と薬学 第72巻 第7号 2015年)
健常者698例により参考基準範囲(対数変換後の平均値+1.96SD)を求めたところ、血清・血漿検体共に、74.7 pg/mL以下となりました。
参考資料・文献
エクルーシス試薬ProGRPはCLIA法と良好な相関性を示しました。
(自社データ)
各種腫瘍マーカーについて、肺小細胞癌175例を疾患群、非小細胞肺癌472例を対照群としたROC曲線を作成しました。ProGRPはAUC(曲線下面積)0.85、NSEは0.82を示し、共に、肺小細胞癌に対して優れた診断能を示しました。
参考資料・文献
ProGRPとNSEの相関性は乏しく(r = 0.32)、小細胞肺癌に対して互いに相補性を示します。このため、同時測定により小細胞肺癌の臨床的感度が14%-23%向上することが報告されています。
参考資料・文献
血清中トロンビンによるProGRP分子切断部位とは異なる配列を認識する抗体を採用した結果、血清検体での良好な安定性を実現できました。
参考資料・文献
SCLC vs NSCLC + 肺良性疾患
特異度95%としたときの最適カットオフ値は80.8 pg/mL(AUC:0.900, 95% Cl:0.886-0.941)を示した。
SCLC vs NSCLC
特異度95%としたときの最適カットオフ値は80.1 pg/mL(AUC:0.898, 95% Cl:0.868-0.928)を示した。
SCLC vs 肺良性疾患
特異度95%としたときの最適カットオフ値は80.8 pg/mL(AUC:0.913, 95% Cl:0.882-0.943)を示した。
血清検体を用いたときの各疾患群のProGRP分布
(The 16th World Conference on Lung Cancer, 2015, Presentation #1390)
ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)を神経特異エノラーゼ(NSE)と併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する