SCC抗原は、分子量42 kDの糖タンパク質でセリンプロテアーゼインヒビター(セルビン)ファミリーに属します。腫瘍マーカーであるSCC抗原(扁平上皮癌関連抗原)は、子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣から抽出・精製された蛋白質です。正常な扁平上皮にもわずかに存在しますが、分化傾向の強い癌細胞ほど、より高濃度に存在し、正常扁平上皮組織と扁平上皮癌組織のSCC抗原産生能には明らかな相違が見られます。
SCC抗原は18番染色体上に存在するSERPIN:B3(SCCA1),SERPIN:B4(SCCA2)という2種類の遺伝子にコードされています。SCCA1抗原は中性成分、SCCA2抗原は酸性成分をそれぞれコードしていますが、酸性成分は中性成分と比較して細胞外に放出されやすいという特徴を持っています。扁平上皮癌では正常扁平上皮に比較して酸性成分のSCCA2分画が増えるため血清SCC抗原が扁平上皮癌患者で上昇すると考えられています。
したがって、最適な癌診療のためには、血中に存在する2つのSCCアイソフォームを適切に測定できるアッセイ法が必須であると言えます。
エクルーシス プレチコントロール TM、ヒトプール血清を用いた検討では、同時再現性、日差再現性ともに良好な結果が得られています。
(自社データ)
健常者153名(男性:75名、女性:78名、年齢:20歳~79歳;中央値50歳)により、参考基準範囲を求めたところ、95%タイル値で2.3ng/mLを示しました。
(自社データ)
エクルーシス試薬 SCCはB社SCCと良好な相関性を示しました。
O社SCCはエクルーシス試薬 SCCに比べて低値傾向を示しました。
SCCA1およびSCCA2リコンビナント抗原をそれぞれヒト血清マトリックスに添加して測定しました。
エクルーシス試薬 SCCは、SCCA1抗原とSCCA2抗原と同等の反応性を示しました。
参考資料・文献
良性肺疾患123例を対照としたときの肺扁平上皮癌215例の感度は、39%(特異度95%)を示しました。また、SCC抗原値の中央値は肺扁平上皮癌において最も高い値を示しました。
(自社データ)
良性婦人科系疾患60例を対照としたときの子宮頸癌(扁平上皮癌)127例の感度は、61%(特異度95%)を示しました。また、SCC抗原値は、扁平上皮癌で最も高い値を示しました。
(自社データ)