妊娠高血圧腎症（Preeclampsia；PE）は高血圧症および蛋白尿／臓器障害を伴う妊娠疾患で重篤な合併症を引き起こすことがあるため、高次医療施設での厳重な入院管理が必要です。PEの基本的な根本的治療はターミネーション以外にないとされており、早期に医療介入し発症や病態の悪化を抑制することが求めらています。
ロシュはPEの短期発症予測の補助マーカーとして「sFlt-1/ PlGF比」に着目。ハイリスク妊婦の早期トリアージによる高次医療施設との連携や短期間の外来管理など、早期医療介入に貢献します。
胎盤形成に関わる血管新生因子「PlGF」および、その阻害因子「sFlt -1」はPEの病態形成に関与していることが明らかになっています1。また、PEを発症する妊婦は、発症前に血清中の「sFlt-1」の「PlGF」に対する比率「sFlt-1/PlGF」が上昇することから、「sFlt-1/PlG F比」がPEの発症を予測する指標として注目されています2。
国際共同研究PROGNOSIS3において、臨床的にPE発症のリスクが高いと考えられる妊婦を対象に発症予測性能を評価。「sFlt-1/ PlGF比」38がカットオフ値として有用な的中率を持つことがヨーロッパならびにアジア4で確認され、38以下はその後1週間でPE非発症（ 陰性的中率99.3％）、38を超えた場合には以後4週間以内のPE発症（ 陽性的中率36.7％）の予測補助となる可能性が示唆されています。
PROGNOSIS（欧州での検討結果)3
国際共同研究PROGNOSISにおいて、臨床的にPE 発症のリスクが高いと考えられる妊婦（妊娠週数24 週+0 日～36 週+6 日）1050 例を対象に、PE/子癇/HELLP 症候群に対する*sFlt-1/PlGF比の発症予測性能を評価しました。本試験はDevelopment（n=500）とValidation (n=550)の2つのコホートから構成されています。 *薬事/保険の対象はPEのみです
Development コホートにおいて、以下のカットオフ値が選択されました。
sFlt-1/PlGF 比≦38： 1 週間以内のPE の非発症予測
sFlt-1/PlGF 比＞38： 4 週間以内のPE の発症予測
PROGNOSIS ASIA（日本を含むアジア諸国での検討結果)4
アジア6 か国において、臨床的にPE 発症のリスクが高いと考えられる妊婦（妊娠週数18 週+0 日～36 週+6 日）700 例を対象に、PROGNOSIS で設定されたカットオフ値による本品のPE/ 子癇/HELLP 症候群の発症予測に対する性能を評価しました。その結果、以下の結果が得られました。
参考文献
演者：齋藤滋先生／富山大学 学長
2021年7月1日に新規保険収載された妊娠高血圧腎症の短期発症予測マーカーsFlt-1/PlGF比。富山大学 学長 齋藤 滋先生に妊娠高血圧腎症についてその実態およびsFlt-1/PlGF比について分かりやすく解説いただきます。
１．妊娠高血圧腎症の実態
２．妊娠高血圧腎症の治療と予防
３．妊娠高血圧腎症の新たな発症予知マーカーsFlt-1/PlGF比
４．妊娠高血圧腎症の発症予知とsFlt-1/PlGFの運用
（全4回）
※視聴には会員登録が必要です
