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マイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)

sFlt-1/PlGF比

おさえておきたいPOINTS

  • マイコプラズマ・ジェニタリウムはクラミジア・トラコマチスや淋菌と同様男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎を引き起きします。
  • 2022年6月に日本初のIVD体外診断用医薬品が発売されました。
  • 2022年6月1日付でMGの遺伝子検査が新規に保険収載項目となりました。

マイコプラズマ・ジェニタリウムの臨床像

 

マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)

  • マイコプラズマ目のグラム陽性細菌※1
  • 1981年に非淋菌性非クラミジア性尿道炎患者から分離された※1
  • ゲノムサイズは約580kbで自己増殖可能な微生物の中では最小※1
  • 世界の統計では1~3%の人が感染しているというデータがある※2

※1 Taylor-Robinson et al Clin Microbiol Rev 2011;24:498-514

※2 Jensen JS et al J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016 Oct;30(10):1650-1656

 

 

新しい性感染症マイコプラズマ・ジェニタリウム

  • 男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎を引き起こします。その症状は無症状や軽微なものから程度の強いものまで様々で、症状だけでMG感染によるものと診断することは難しいとされています。
マイコプラズマ・ジェニタリウムの写真

増加するMGの薬剤耐性

  • マイコプラズマ・ジェニタリウムの薬剤耐性化が問題視されています。特に問題視されているのはマクロライド耐性であり、日本においてもすでに50%以上が耐性化していると言われており、ニューキノロン耐性のMGやマクロライド、ニューキノロンどちらにも耐性を持った多剤耐性MGも確認されています。※3
CDCの抗菌薬耐性脅威レポート
  • CDCの抗菌薬耐性脅威レポートでも薬剤耐性MGについては警戒リストに掲載されています。
薬剤耐性MGについての警戒リスト

参照:CDC ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS IN THE UNITED STATES 2019

MGに対する海外での治療の取り組み

  • オーストラリアでは非淋菌性尿道炎患者に対してMGのマクロライド耐性の有無を検査し、その結果で治療薬を決める治療法(Resistance Guided Therapy)を実施したところ、治癒率が95%(4)まで改善したという報告や治療時間の短縮ができた(5)という報告もあります。
CDCの抗菌薬耐性脅威レポート
  1. Bradshaw CS et al. PLOS ONE 2008;3(11):e3618
  2. Bissessor M et al. Clin Infect Dis. 2015;60(8):1228-36
  3. Read TRH et al. Clin Infect Dis. 2017;64(3):250-256.
  4. Read TRH et al. Clin Infect Dis. 2019; 68(4):554-560
  5. Couldwell DL et al. Sex Transm Infect. 2018;94

マイコプラズマ・ジェニタリウム遺伝子検査の保険点数

   
保険適用上の区分 E3(新項目)
測定項目 腟トリコモナス及びマイコプラズマ・ジェニタリウム同時核酸検出
測定方法 リアルタイムPCR法
点数 350点
留意事項 (1)腟トリコモナス核酸及びマイコプラズマ・ジェニタリウム同時核酸検出は、リアルタイムPCR法により、腟トリコモナス感染症を疑う患者であって、鏡検が陰性又は実施できない者又はマイコプラズマ・ジェニタリウム感染症を疑う患者に対して治療法の選択のために実施した場合及びトリコモナス感染症又はマイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の患者に対して治療効果判定のために実施した場合に算定する。

コバスMGの海外及び国内の臨床試験成績

 

海外臨床性能試験成績

米国で家族計画・産科・産婦人科・性感染症クリニックより集めた 2,154 症例を対象に、 コバスTV/MG(以下、本品)の測定結果と PIS(Patient Infection Status:患者感染状態)を比較して本品の臨床性能を検討しました。 MG PIS は FDA との協議の結果、核酸検出法 3 法の結果を組み合わせて決定しました。 MG 検出の乖離解析は 各測定結果の詳細及び本品と異なる標的配列を持つ自家調製の核酸検出法(以下、第三法)を用いて行いました。

 MG検出におけるPISとその比較

 
MG(女性尿) PIS
感染 非感染
本法 陽性 51 31※2 82
陰性 8※1 1,009 1,017
59 1,040 1,099

 

感度:86.4%(51/59)、特異度:97.0%(1,009/1,040)

※1:乖離検体8例は、第三法の解析によりすべて陰性と判定されました。

※2:乖離検体31例のうち、30例は本品がごく低濃度のMGを検出したと考えられました。

 
MG(腟擦過物) PIS
感染 非感染
本法 陽性 57 31※4 88
陰性 2※3 1,011 1,013
59 1,042 1,101

 

感度:96.6%(57/59)、特異度:97.0%(1,011/1,042)

※3:乖離検体2例は、第三法の解析によりすべて陰性と判定されました。

※4:乖離検体31例は、すべて本品がごく低濃度のMGを検出したと考えられました。

 
MG(子宮頸管擦過物) PIS
感染 非感染
本法 陽性 49 17※6 66
陰性 10※5 1,023 1,033
59 1,040 1,099

 

感度:83.1%(49/59)、特異度:98.4%(1,023/1,044)

※5:乖離検体10例は、第三法の解析によりすべて陰性と判定されました。

※6:乖離検体17例のうち、16例は本品がごく低濃度のMGを検出したと考えられました。

 
MG(男性尿) PIS
感染 非感染
本法 陽性 60 24※7 84
陰性 0 961 961
60 985 1,045

 

感度:100%(60/60)、特異度:97.6%(961/985)

※7:乖離検体24例のうち、22例は本品がごく低濃度のMGを検出したと考えられました。

引用:コバスTV/MG添付文書より

国内臨床性能試験成績

国内で集めた尿道炎、腟トリコモナス症、細菌性腟症の患者もしくは疑いのある患者1,297 症例を対象に、国内未承認品の核酸検出法(キット A)を国内における臨床診断と定義し、本品の測定結果と比較して臨床性能を検討しました。
MG 検出の乖離解析は国内未承認品の核酸検出法(キットC)を用いて行いました。

MG検出における国内臨床診断との比較

 
MG(女性尿) 臨床診断(キットA)
感染 非感染
本法 陽性 127 8※9 135
陰性 17※8 630 647
144 638 782

 

感度:88.2%(127/144)、特異度:98.7%(630/638)

※8:乖離検体17例のうち、キットCにより16例は陰性と判定されました。

※9:乖離検体8例は、キットCの結果がすべて本品と一致しませんでした。

 
MG(腟擦過物) 臨床診断(キットA)
感染 非感染
本法 陽性 99 1※11 100
陰性 22※10 295 317
121 296 417

 

感度:81.8%(99/121)、特異度:99.7%(295/296)

※10:乖離検体22例のうち、キットCにより21例は陰性と判定されました。

※11:乖離検体1例は、キットCの結果が本品と一致しませんでした。

 
MG(男性尿) 臨床診断(キットA)
感染 非感染
本法 陽性 25 0 25
陰性 3※12 175 178
28 175 203

 

感度:89.3%(25/28)、特異度:特異度:100%(175/175)

※12:乖離検体3例は、キットCにより陰性と判定されました。

引用:コバスTV/MG添付文書より