HER2タンパクは、チロシンキナーゼ活性を持つ受容体型の細胞膜を貫通する185kDの糖タンパクで、細胞増殖、分化などに関与しています。ヒト化HER2モノクローナル抗体(Trastuzumab:ハーセプチン)は、米国GENENTECH社が開発、乳癌治療薬として臨床使用されており、治療に先立ち、乳癌組織でのHER2タンパク過剰発現・遺伝子増幅の状況を確認することは必要不可欠です。本抗体によるHER2タンパクの過剰発現の検出は、抗HER2治療薬の適応を判断するための指標として使用可能です。また、クローン: 4B5は、外部精度管理機関の実施するサーベイにおいて、他のクローンに比べ、良好な評価が得られています6。4種類のHER2抗体を比較した結果、4B5が最も信頼性の高いクローンであったことが報告されています2。
腫瘍組織中のHER2遺伝子(HER2)およびHER2が局在する第17番染色体のセントロメア(CEN17)を、銀とアルカリフォスファターゼの二種類の発色系により、黒色(HER2)と赤色(CEN17)のシグナルとして検出します。
ベンタナ社製の全自動染色システムにより、脱パラフィンからシグナル検出の全工程を完全自動化することができます4,5 。検出されたシグナルは光学顕微鏡下で観察可能なため、腫瘍の組織形態とシグナルの同時観察を実現できます。
エストロジェンレセプター(ER) は乳癌患者の予後の予測及びホルモン療法の適用の適否を診断する上で、有用な情報となります1。乳癌は女性に最もよくみられる癌ですが、早期発見により適切な治療が行われれば生存率は著しく上昇します。1967年にJensenらにより、乳癌組織中ERの測定が内分泌療法効果の指標として有用であることが示唆されました。その後、ER、プロゲステロンレセプター(PGR)がホルモン療法効果のよい指標となることが明らかとなり、進行・再発乳癌の治療のみならず術後補助ホルモン療法にも広く臨床応用されるようになりました。また、クローン:SP1は、クローン:1D5より感度が高く明瞭な染色性であり、SP1を使用することで偽陰性の割合を減らすことにつながると報告されています2, 3。
プロゲステロンレセプター(PGR) は乳癌患者の予後の予測及びホルモン療法の適用の適否を診断する上で、有用な情報となります7。乳癌は女性に最もよくみられる癌であるが、早期発見により適切な治療が行われれば生存率は著しく上昇します。1967年にJensenらにより、乳がん組織中エストロジェンレセプター(ER)の測定が内分泌療法効果の指標として有用であることが示唆されました。その後、ER、PGR がホルモン療法効果のよい指標となることが明らかとなり、進行・再発乳がんの治療のみならず術後補助ホルモン療法にも広く臨床応用されるようになりました。PRはER陰性患者でも予後因子およびホルモン療法に対する治療応答予測として有用と報告されています8。
Ki67は増殖細胞内で発現する核タンパクであり、細胞周期のG1、S、G2、M期で発現し、G0(静止)期には存在しません。抗Ki67抗体は、Ki67抗原のC末端部分を認識し、正常組織および腫瘍組織の増殖活性を評価するために有用です。
腫瘍細胞への染まりのみを評価する他の一般的な免疫染色とは異なり、乳癌におけるベンタナ PD-L1 (SP142)では、腫瘍浸潤免疫細胞(IC)のみを対象として評価を行います。ウサギモノクローナル抗体であるクローンSP142 と、高感度のベンタナ OptiView DAB ユニバーサルキットに加えてタイラマイドの増感法を原理とするベンタナ OptiView 増感試薬を組み合わせることで、視覚的なコントラストを高め、腫瘍微小環境内の免疫細胞への染まりが観察しやすくなるよう設計されています。
参考文献
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