STDを効果的かつ早期に検出することはSTDを制御し、罹患率および死亡率を最小限に抑え、社会全体の感染を減少させるため、非常に重要です。例えばHIVのような疾患では感染早期に感染させるリスクが最も高く12)、早期発見が不可欠です。疾患が診断されることでその後は感染に配慮した行動となることが期待されます。
STDは多くの人が無症状であるか軽度の症状しかないため、検査はスクリーニングや疾患マネジメントに重要です2)。未治療のSTDは、乳児および成人において不妊症、子宮外妊娠、子宮頸癌を含む罹患率や死亡率の増加という重大な結果につながる可能性があります13)。
STDを検出することは、社会全体の感染リスクを排除し、さらなる感染を防止するための重要なツールです。また検査は、治療モニタリング、サーベイランス、アウトブレイク調査、抗菌剤耐性パターンの検出においても重要です14,15)。さらにSTDをコントロールすることは効果的なHIV予防戦略にもなり得ます。なぜなら多くの潰瘍性および非潰瘍性STDは、HIV感染リスクを10倍にも増加させるからです14,16, 17, 18, 19, 20)。
STDの早期かつ迅速な診断は非常に有効です。また最適な診断のためには適切な検査が必要です。STDは個人だけでなく、潜在的にある指数関数的な性的接触による感染拡大においても、社会に大きな負担をかけるため、最適な診断が必要なのです。
従来からある血清学的検査に新しい遺伝子検査を追加することで診断のアプローチはより複雑になりましたが、適切に使用されることでより有用になりました。いくつかのSTD(例えばChlamydia trachomatisによる感染)の診断は、遺伝子検査の高感度および特異性によって明確に改善されました。生物学的性質のため、例えば梅毒のように依然として血清学的検査が最も使用されるものもあります。ウイルスによるSTDのいくつかは、検出し、そのウイルス動態を経過観察するため、また臨床的に発現した症状を観察するため、血清学的検査と遺伝子検査の両方を必要とします。
正しい検査を選択することは不可欠ですが、市販されている多くの検査では、特定の臨床症状に対して適切な検査を選択することが難しい場合があります。STD診断において、専門医の間でさえも様々な検査が使用されていることが報告されています21)。偽陰性の結果は、疾患をさらに広げ、治療の開始を遅らせ、その後の合併症をより起こしやすくします。偽陽性の結果は不必要な心理的苦痛を引き起こし、不必要な治療につながります。高い感度および高い特異性は、疾患の罹患率に応じて高い陰性的中率あるいは陽性的中率をもたらします。
参考資料・文献