エクルーシス試薬 SARS-CoV-2 Ag(体外診断用医薬品)は鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2 抗原を、SARS-CoV-2 ヌクレオカプシド (N) タンパク質に対する2つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチアッセイによって測定します。31
エクルーシス®試薬
SARS-CoV-2 AgSARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗原の測定を目的とした免疫検査
製造販売承認番号:30300EZX00028000 販売名:エクルーシス試薬 SARS-CoV-2 Ag
エクルーシス試薬 SARS-CoV-2 Ag(体外診断用医薬品)は鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2 抗原を、SARS-CoV-2 ヌクレオカプシド (N) タンパク質に対する2つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチアッセイによって測定します。31
COVID-19の起因ウイルスであるSARS-CoV-2は、一本鎖RNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスです。1-3 これまで7種類のコロナウイルスがヒト感染症の病原体として同定されており、軽度の感冒症状から重度の呼吸不全にわたる疾患を引き起こします。4 コロナウイルスは、スパイク(S)、エンベロープ(E)、メンブレン(M)、ヌクレオカプシド(N)の4つの構造タンパク質を共通して有しており、そのうちのNタンパク質が最も多く存在します。5-8
SARS-CoV-2は、主に呼吸器から生じる飛沫やエアロゾルを介して人から人に感染します。9,10 感染後、検出可能となるウイルス量に達するまでの期間は、おおむね2日~14日です。11,12 ウイルスの検出は臨床徴候や症状と関連しますが、感染者のうちかなりの割合が無症状や軽症のままです。13-15 COVID-19患者がいつから感染力を有するのかは、まだ明確には判明していませんが、有症状者、無症状者及び発症前のいずれの患者からもウイルス感染することが判明しています。16-18
SARS-CoV-2感染者を判別し隔離するための高精度な検査を開発することは、COVID-19パンデミックのコントロールに有効な対策となります。19 急性の新型コロナウイルス感染症に対する確定診断は、感染者の気道由来検体からのSARS-CoV-2 RNA、又はウイルスタンパク質の検出によっておこなわれます。20 ウイルス抗原は、そのウイルスが活発に増殖している場合にのみ発現します。そのため、抗原検査が急性又は初期感染の診断に有用です。.21,22 最近の研究によれば、SARS-CoV-2は感染後5日間は咽頭で炎症とともに活発に複製され、発症後7~9日目までは感染性ウイルスが呼吸器検体から検出されます。またこの期間は、一般的に感染者のウイルス量が最も多くなる時期と重なります。14,26-28 したがって、抗原検査が最も高い性能を発揮するのは、有症患者で症状が出始る時期及び感染初期となります。20 濃厚接触者の評価では、軽症者又は無症状者の検査も検討されます。20 抗原検査は無症状者を含め、現在感染している人を特定し、振分けるための一般的な検査となりえます。29,30
#95%信頼区間
不活化SARS-CoV-2(USA-WA1/2020)を2 倍に連続段階希釈することにより、10 濃度の試料からなるパネルを作製しました。パネルの各試料を20 回同時測定し、19 回以上陽性と判定された最小濃度を最小検出感度(LoD)とし、結果はTCID50*/mLで表示されます。
輸送培地 | TCID50/mL |
コパンUTM | 22.5 |
CDCウイルス輸送用培地 | 22.5 |
0.9% 生理食塩水 | 37.5 |
エクルーシス用SARS-CoV-2 検体前処理液 | 22.5 |
(1)本品と RT-PCR 法との相関性
日常診療で収集されウイルス輸送培地に保存した鼻咽頭 ぬぐい液 739 検体を、本品及びコバス SARS-CoV-2 (RT-PCR 法)で測定し、SARS-CoV-2 検出における一致率を算出しました。
SARS-CoV-2検出 | コバス SARS-CoV-2 (RT-PCR 法) | |||
陽性 | 陰性 | 合計 | ||
本品 | 陽性 | 154 | 0 | 154 |
陰性 | 79 | 506 | 585 | |
合計 | 233 | 506 | 739 |
陽性一致率:66.1%(154/233)
陰性一致率:100% (506/506)
全体一致率:89.3% (660/739)(2)核酸濃度別の本品のコバス SARS-CoV-2 (RT-PCR 法)に対する陽性一致率
コバス SARS-CoV-2 (RT-PCR 法)で陽性となり、かつ Target 2 の Ct (Cycle Threshold) 値が得られた鼻咽頭ぬぐい液 232 検体(本品陽性:154 例、本品陰性:78 例)について、Ct 値から推定した核酸濃度(コピー/テスト)ごとの本品の陽性一致率を検討しました。
ウイルス量 (コピー/テスト) |
陽性数 | 検体数 | 陽性一致率(%) |
106 以上 | 3 | 3 | 100 % |
105~106 未満 | 23 | 23 | 100 % |
104~105 未満 | 41 | 41 | 100 % |
103~104 未満 | 35 | 35 | 100 % |
102~103 未満 | 25 | 27 | 92.6 % |
101~102 未満 | 20 | 40 | 50.0 % |
101 未満 | 7 | 63 | 11.1 % |
(3)核酸濃度及び COI の相関性
コバス SARS-CoV-2 (RT-PCR 法)で陽性となり、かつTarget 2 の Ct 値が得られた鼻咽頭ぬぐい液 232 検体(本品陽性:154 例、本品陰性:78 例)について、Ct 値から推定した核酸濃度(コピー/テスト)と本品で測定した COIから散布図を作成しました。
2,747のRT-PCR法で陰性の鼻咽頭/咽頭 スワブ検体を用い、本品の相対特異性を評価しました。検体は、COVID-19有症患者、 SARS-CoV-2への曝露が既知又は疑われる患者、入院前のスクリーニング検査を受けた患者から採取しました 。
コホート | N | 陽性 | 特異性(95 % 信頼区間) |
有症患者 | 548* | 0 | 100% (99.3 - 100%) |
既知または暴露が疑われる患者、スクリーニング検体 | 2199** | 4 | 99.8% (99.5 - 100%) |
全体 | 2747 | 4 | 99.9% (99.6 - 100%) |
参考文献