新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体(IgGを含む)を定性的に検出するイムノアッセイ試薬
Elecsys Anti-SARS-CoV-2(RUO)は、ヒト血清および血漿中のSARS-CoV-2に対する抗体(IgGを含む)をin vitroで定性的に検出するイムノアッセイ試薬です。本試薬は、SARS-CoV-2に対する抗体の測定にヌクレオカプシドを標的としたSARS-CoV-2 特有のリコンビナント抗原 (E.coli)を使用しており、測定には電気化学発光免疫測定法 (ECLIA)を測定原理とする分析装置を使用します。
SARS-CoV-2:ウイルスの構造、感染、検出の概要
SARS-CoV-2は、コロナウイルス科コロナウイルス属に属する一本鎖RNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスです。コロナウイルスは構造的に類似しており、16種類の非構造タンパク質と4種類の構造タンパク質(スパイク、エンベロープ、メンブレン、ヌクレオカプシド)から構成されています。
コロナウイルスは、SARS-CoV-21,2に起因する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように、軽度の感冒からより重度のものまで症状を伴う疾患を引き起こします。SARS-CoV-2 は主に呼吸器の飛沫を介して人から人へと感染しますが、汚染された物の表面を介した間接的な感染の可能性があります3-6 。ウイルスはアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介して宿主細胞にアクセスし、肺に最も多く存在します7-9 。
COVID-19の潜伏期間は曝露後2~14日で、大半の症例では曝露後約4~5日で症状が現れます3,10。感染症の症状は、軽度のもの(発熱、咳、倦怠感、においの消失、息切れ)から重症のものまで様々です11,12。多くの症例は重症化には至りませんが、主に高齢者や基礎疾患を持つ成人で重症化しやすく、集中治療を必要とするケースもあります。症状としては、呼吸不全、ショック、多臓器不全などがみられ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が重症な合併症としてあげられます。
COVID-19の確定診断には、核酸増幅検査(NAT)によるSARS-CoV-2の直接検出が必要です15-17。血清学的検査は、ウイルスに曝された個人を特定し、集団の曝露の程度を評価するのに役立ち、それによって封じ込め対策の適用、実施、緩和を決定するのに役立つかもしれません18。