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PCR検査に必要なアイテム

June 26, 2020

 

新型コロナウイルスに代表される感染症の検査にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と呼ばれるものがあります。PCR法は、ごく少量の遺伝子を増幅し、数百万から数十億のコピーを作成することで、検出・分析に必要な量を確保するもので、高感度に病原体を検出できることが特徴となります。 

このPCR検査を行うためには、検査を行うための機器の他にもいくつかの試薬・消耗品が必要となります。ここではそれらについて解説していきます。 



PCR検査に必要な“アイテム”とは?

 

検体採取: 患者から検体を採取するために必要な器具

鼻咽頭スワブ(綿棒)は、家庭用綿棒とは異なり、医療用の綿棒が使用されます。患者に直接触れる器具として滅菌済みであり、効率よく検体採取するための工夫がされています。 
検査用チューブには、ウイルス検体輸送培地と呼ばれる液体が入っており、検査機関への輸送中に検体を保護します。
検体を採取チューブから二次チューブに移し替える際に使用する、ピペット。検査機器にセットするために適切な形状の容器に移し変える必要がありますが、機器にセット可能なチューブを検体採取に使用する場合にはピペットが必要ない事もあります。

 

 

検査キット: 患者の検体からDNAやRNAを抽出し、PCRを最適な条件で実施するために必要なすべての試薬が含まれており、すぐに使用ができるように調整された検査キット。研究室で行われるPCRの実験と異なり、検査では”誰がどこで実施しても同 じ条件で検査される”事が重要となりますので、試薬のキット化は重要な要素となっていま す。各キットには以下が含まれます。 

PCRマスターミックスと呼ばれる試薬。ポリメラーゼと呼ばれるDNAを合成する酵素や、酵素が最適な条件で働くためのpHや塩濃度などが調整された液です。
アデニン、チミン、グアニン、シトシンな どのDNAを構成する塩基と呼ばれる化合物で、PCRではこれらの化合物を使って鋳型の遺伝子を増幅します。 
ポジティブ/ネガティブコントロール。陽性・陰性が担保された疑似的な検体で測定することで、機器や試薬が正しく働いている事を担保します。検査の結果が正しい結果である事を担保するために重要な要素です。

 

 

その他の消耗品: その他検査を行うために必要な消耗品や試薬類です。汎用試薬とも呼ばれます。 


PCR検査を行うためにはマスターミックス以外にも、核酸を抽出するための抽出試薬や、夾雑物を取り除き核酸を生成するための洗浄試薬、それらを移し替えたり混合したりするためのピペットチッププレートなどが必要になります。 


HIV、ヒトパピローマウイルス(HPV)からSARS-CoV-2に至るまで、様々な検査がPCRで検査されていますが、これらの検体の性状はさまざまです。これらを検査機器にセットするためには、前処理と呼ば れる工程が必要になる事があり、遠心分離を行うための器具希釈するための溶液などが用いられます。