従来のPCRではDNAを増幅させた後、電気泳動などで増幅産物を確認します。この方法は手間がかかったり、何サイクル反応させたら十分に増幅されているのか分からなかったりと、遺伝子検査に用いるのにはいくつかの課題があります。
そこで開発されたのがリアルタイムPCRです。
名前の通り、DNAの増幅をリアルタイムに観察する方法です。
リアルタイムPCR法のひとつであるTaqMan PCRでは、TaqManプローブと呼ばれる蛍光物質で標識した短いDNA断片を使用します。このプローブはDNAが合成される時に加水分解され、その際の蛍光を測定することで、DNA合成反応の進捗をリアルタイムに観察できるのです
DNA合成が1回行われると1つのTaqManプローブが加水分解されます。2回なら2つ、4回なら4つと、DNA合成の回数だけ蛍光エネルギーが観察でき、蛍光カメラでその強度を測定すれば、DNA増幅がどれだけ起こったのかが推測可能です。逆算すれば増やす前のDNAが、どのくらい存在していたのかも分かります。増幅後の反応プレートを開封することなく、手間をかけずに定性・定量のどちらも測定できるリアルタイムPCRは、様々な検査の分野で活躍しています。
cobas® SARS-CoV-2検査は、患者の鼻咽頭および咽頭スワブサンプル中のSARS-CoV-2の定性検出を目的としたリアルタイムRT-PCR検査です。
この検査は、ロシュの全自動cobas® 5800/6800/8800システム上で使用することができます。この検査は日本国内においても IVD「体外診断用医薬品」として承認を受けています。
(製造販売承認番号:30200EZX00020000)
また、研究用試薬としてcobas® z480やLightCycler® 480,LightCycler® 96などで動作するLightMix Modular SARS-CoV (COVID19)試薬も販売しています。